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「親の言うことを聞かない」その奥に隠されたメッセージとは?
子育てをしていると、時に自分の手には負えないような子どもの問題行動や、親としてどう接するべきか悩む場面が出てくることがあるでしょう。
本書『去られるためにそこにいる』では、「子どもの問題行動には大切な意味がある」とし、親がその行動の奥にあるメッセージを受け止めることが重要であると説きます。
田中茂樹氏は、親と子どもの関係についての深い理解を促すために、カウンセリングの事例を通じて親の役割をやさしく伝えてくれます。
著者自身が臨床心理士として数々の親子と向き合ってきた経験を元に書かれた内容は、子どもと向き合う親たちが「子どもを巣立たせるための心構え」を持てるようにサポートしてくれます。
子どもの「問題行動」は一種のメッセージ
親としては、子どもが抱える問題行動は困りごとに感じられるものです。
しかし著者は、「問題行動には意味がある」と語ります。その行動には、子どもが今何を感じ、何を求めているのかというサインが含まれているのです。
たとえば、病気や問題行動について、著者は「ちょっとひと休み」としての意味を持つ場合があると述べています。
何かに追い詰められていると感じている子どもが、自分を守るために表現しているのだと考えると、見方が変わってきます。
このような視点から、親がどう関わればよいのか、子どもをどう支えるべきなのかについて、親の不安や戸惑いを解消してくれる内容が満載です。
子どもの「反発」に隠された自己主張の価値
子どもが親に反発したり言うことを聞かなかったりすることもありますが、これもまた、成長過程において自己主張を表す大切な一面であると著者は説きます。
「子どもが言うことを聞かない」ということは、親にとって受け入れがたいことかもしれませんが、子どもが自分らしさを見つけるためのプロセスであり、反発の良さもまた認められるべきだという視点が新鮮です。
このような場面で親がどのような態度で接するべきかを、著者は具体的な事例を通して教えてくれます。
例えば「怒りの妖精」というエピソードでは、子どもの強い感情にどう対処すればよいのかについてのヒントが提示されています。
子どもが反発を通じて伝えようとしているメッセージを理解するための実践的なアプローチを知ることができるのも本書の魅力です。
「去られるためにそこにいる」ー親がすべきことは「見守る」こと
本書のタイトルにもある「去られるためにそこにいる」という言葉には、親としての心構えが凝縮されています。
最終的には子どもは成長し、親元を巣立っていく存在です。
親は、子どもが独り立ちできるまでの支え役として、どっしりと構えて待つことが求められると、著者は説いています。
本書では、親が果たすべき「見守る」という役割について、具体的なエピソードを交えながら解説されています。
親があまりにも子どもに干渉しすぎると、子どもの成長にとってマイナスになることもあります。
逆に、ただ見守るだけではなく、適切なタイミングで援助を行うことの重要性も述べられており、「子どもにとっての本当の支え」とは何かを考えさせられる内容となっています。
学校に行かない・ひきこもる子どもとの向き合い方
近年では、学校に行きたがらない子どもや、ひきこもりの問題を抱える親も増えています。
本書では、不登校の子どもや、働くことに苦しむ子どもと親との関係についても言及されています。
著者は、不登校の子どもに対して親が家庭でできることや、子どものペースに合わせて家族全体がゆっくりと変化していくことの大切さを説いています。
親としての責任や期待を持つのは当然のことですが、それを無理に子どもに押し付けるのではなく、子どもが自分のペースで成長していける環境を整えることが大切だと語っています。
このような視点は、不登校やひきこもりの子どもとどう向き合えばよいか悩む親にとって、大きな支えになることでしょう。
読者の口コミ
本書を読んだ多くの親が、以下のような感想を寄せています。
- 「子どもの問題行動に対して、どう接するべきか悩んでいましたが、この本のおかげで見方が変わりました。子どもの言動の奥にある気持ちに気づけるようになりました。」
- 「タイトルに惹かれて手に取りましたが、親としての心構えがすっと腑に落ちました。今は焦らず、子どもが自立するまで見守ろうと思います。」
- 「不登校の子どもにどう接するべきか悩んでいましたが、この本を読んで心が軽くなりました。子どもの成長を焦らずに見守る姿勢を持とうと思います。」
親と子の絆を深めるための一冊
『去られるためにそこにいる』は、親が子どもにどう向き合うべきかを深く考えさせられる一冊です。
問題行動に悩む親や、不登校の子どもを抱える家庭にとって、具体的なアドバイスと温かいエールが詰まった内容となっており、日々の子育てに行き詰まった際にも立ち戻ることができる「支え」のような本です。
子育ては時に苦しいものですが、その奥には子どもが親に向けて発信する「サイン」が必ず隠されています。
親として、焦らずにどっしりと構え、子どもが自立するまでの道を支えられるよう、本書を通じて「見守る力」を養ってみてはいかがでしょうか?
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